島根県出雲市にて、2008年よりアーバンデザイン/まちづくりプラットフォームとして活動を展開してきたCitySwich出雲のワークショップ(出雲建築フォーラム主催)に木内が講師として参加し、ワークショップ参加者、地元住民の方々と共同で 「はまのみたてえ」をデザイン、制作した。
ワークショップは、「神在月」に稲佐の浜から上陸した八百万の神様が、出雲大社に集まる際の通り道と言われている「神迎えの道」に面している、普段空き家で駐車場として使われているスペースで行われた。
このスペースは、「神在月」の期間中に増える来訪者をもてなす目的で地元の方が行う、手づくりのおもてなしイベントに使われているもので、そこでの設えをデザインすることをテーマにワークショップが行われた。「はまのみたてえ」は、同イベントの際に既存建物を目隠しし、イベントの背景となる仮設スクリーンとしてデザインされたもの。
スクリーンは二重の半透明の布とカラーリボンで出来ていて、これを八百万の神様が上陸する稲佐の浜の風景に見立て、白のパターンで海面を、緑のパターンで浜の木々を表し、そこにワークショップ参加者がそれぞれの思い出や浜のお気に入りの場所を示す形で、一人一本ずつピンクのリボンを「浜の風景」の中に留め付け、スクリーンのパターンデザインを完成させている。
こうしたプロセスと装置をとおして、単に美しいスクリーンをつくりあげる以上に、ワークショップ参加者と地元住民が「稲佐の浜」の風景を共有/イメージし、そこで話された会話やそれぞれの思いがごく自然に物理的な履歴として残ること、結果その後の地域の活動の中で思い出され、記憶として根付いていくきっかけを生み出すことが意図された。
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「はまのみたてえ」 /島根県出雲市、日本、2013 © 木内俊克、CitySwitch出雲
協力: 出雲建築フォーラムの皆様、出雲神迎の道の会、ワークショップに参加・協力して下さった学生、全ての皆様
Photo: Toshikatsu Kiuchi, CitySwitch出雲