「おきのくもなわ」は、島根県隠岐群西ノ島町のフェリーターミナルに設置されるパンフレット棚としてデザイン・制作された。「おきのくもなわ」は、同じ島根県は出雲大社につながる参道の神門通りの「おもてなしステーション」に設置された「くもなわ」から展開させ、同系列のデザインシステムと生産・組立システムに基づきながら、西ノ島町のフェリーターミナルに適応して設計・製作された。
レーザーカットにより、プラモデルのように番号付けされた繊細な5.5mm合板の部品を、一切の道具を使わずにはめ込みながら組み上げていけるようデザインした。「くもなわ」では出雲大社に代表される力強くのびやかな造形に呼応し、一つひとつの部材をラミネート加工した11mm厚材により縦板を構成したが、「おきのくもなわ」では5.5mmの縦板をそのまま用いながら、密度を上げてより繊細な印象を形成した。
構造面では波打つパターンが上下につながって応力を伝達し、手前棚側には違い棚のようにわずかに高さを変えた水平面を分散させ、それらを「く」の字型に折れ曲がらせた部材の連続により統合した。「くもなわ」と同様、「く」の字の短手部材と、それらを架け渡す長手部材は、相欠きにより接合された後、さらに高さ方向に固定する為の「貫き」のようなピンにより全て固定されている。
/////
「おきのくもなわ」 /島根県隠岐郡西ノ島町、日本、2013 © 木内俊克