居住者の転居に伴い、アパート2階へのアクセスである既存外付け鉄骨階段の取替え工事、及びアパート2階のみに限定した改装工事を行った。
給湯器、浴室の取替え、屋外設置であった洗濯機の室内化、それらに伴う配管工事といった水周りの更新が必須の要件であった為、300万の予算の大部分を水周り、ガス工事と外階段の鉄骨工事に置き、内装工事は徹底してシンプルな処理とした。
室内は木造賃貸住宅の趣きを残しつつ、壁面をペンキ塗り可能な壁紙に貼り替え、2色の暖色系オフホワイトのペンキ塗りとし、室の広さを最大限引き出す為、間仕切りを取り払った上床仕上げと同色の幅木を立ち上げ視覚的な広さを強調した。外階段は、木造住宅の持っていたスケール感や空気を大事にし、簡易な軽量鉄骨の構造に、ポリカーボネイト波板の目隠しと屋根を設えた素朴な作りとした。
一点のみ階段の屋外空間を彩る主役として、チロリアンランプの木を据えた。これから入居しては、またそれぞれの未来に発っていくアパートの入居者が、いつかそこでの暮らしを思い起こすとき、チロリアンランプの彩りが色々な思い出と共に記憶を紡いでいってくれればと考えた。
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チロリアンランプのうち / 東京、日本、2008 © 木内俊克
延床面積: 40㎡(40㎡のうち、2階のみ、20㎡の改装) 構造: 木造 用途: 賃貸住宅