杉足場板の古材・35mm厚及び15mm厚、ラワン合板9mm厚、土木用フェルト10mm厚を組み合わせ、「壊れた棚」を設計した。フェルトを両面に貼り込んで挟んだラワン合板を縦板とし、横板に足場板を用いている。
縦横材は「相欠き」により組まれているが、「相欠き」の欠き込み幅は棚全体に分布させた歪みに応じ、歪みが強くなる程余分に大きくなるよう制御されている。歪みが強い部分とは、板同士が三次元的に傾き、板同士が90度から大きく傾いた角度で交錯するものを指す。歪み分布と対応した欠き込みは、レーザーカットとCNCミリングにより精緻に削り出しを行い、生み出される板同士の欠き込み間の余分な隙間には、緩衝材としてフェルトを巻き込んでいる。
この操作により、設計された歪みは実際に組み上げる時点でより大きくなる方向に働き、歪むことでフェルトを挟み込んだジョイントに十分な荷重と摩擦力がかかり、全体の構造が保持される。
Amorphous Formとは「かたちにならないかたち」を指す。棚板同士の関係、ジョイント形状の余分寸法、及びフェルトの挟み込みルールのみを精密に規定することで、逆にそれ以外の要素は積極的にずれや不正確さを取り込みながら、なお一定の歪みの振れ幅の中で成立できるような、そんな構造体を実現した。
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‘Amorphous Form’ /新宿パークタワーリビングデザインセンターOZONEギャラリー、東京、2012 © kwwek// 木内俊克 + 砂山太一
協賛:アプリクラフト、アルテアエンジニアリング、総合資格学院