Symbiosis ‘Hoodの与件として特徴的な点は、二人のクライアントが共有する建物として、物理的にも二つの敷地の境界線上に一つの複合施設をつくりたい、という要望であった。ここから、それぞれの敷地に立ち上げたボリュームを「ねじり」、敷地境界をあいまいにし、二人のクライアントによる共生的な環境を実現する、というコンセプトを提案した。
建物内部ではこの「ねじり」は螺旋状にたたみ込まれた一室空間という、回転しながら移動していく動きに還元されていて、ランドスケープからつまみあげられた外観からのボリュームとは異なった表情が内部には与えられている。建物上部での巻貝の貝殻のような居住スペースは、地上から地下へと降りていくに従って、3方向に分かれ、洞窟状の空間へと展開し、それぞれにカフェ、展示・イベントスペースといった公共の用途が割り当てられている。
構造は、建物表面に沿いながら、鉛直/水平の荷重をバランスよく分散させ、かつ有機的な曲面から平面上で定義できる曲線を取り出すため、3次元ボロノイを利用して構造芯が定義されている。ボロノイは建物内外部の仕上げパネルのパターンでもある。
外装はランドスケープから連続的に緑化パネルに覆われている。上部にいくに従って徐々に突き出てくる珊瑚のような形状により緑化面積を効率よく増やす提案を行った。
Symbiosis ‘Hood / ヘイリ, 韓国, 2008 - 2009
© R&Sie(n) Creative team: François Roche, Stéphanie Lavaux, Toshikatsu Kiuchi with Leopold Lambert
延床面積: 750 m² 発注主: Julieta and J.J. Lee + Pablo Lee (on two separate properties) 用途: 住宅、カフェ、展示・イベントスペースからなる複合施設