「たなだ」は、島根県仁多郡奥出雲町の文化観光協会に設置されるパンフレット棚としてデザイン・制作された。「たなだ」は、同じ島根県内の出雲大社前神門通りの観光案内所に設置された「くもなわ」、隠岐群西ノ島町のフェリーターミナルに設置された「おきのくもなわ」に次ぐ第三作目のシリーズで、同系列のデザインシステムと生産・組立システムに基づきながら、奥出雲町文化観光協会の要望に適応して設計・製作された。
レーザーカットにより、プラモデルのように番号付けされた12mmラワン合板による短手部材、5.5㎜合板を貼り合せた長手部材、接合ピンを、一切の道具を使わずにはめ込みながら組み上げていけるようデザインした。さらに、戦前はたたら製鉄の砂鉄沈殿池として、戦後には見事に棚田として生まれ変わった、同地域の原初的な風景である人工の段丘上の地形を模して、ランダムな高さにやや不定形な四角形の棚板を挿入、棚板は15㎜厚のゴム集成材で構成するものとした、。
構造面では波打つパターンが上下につながって応力を伝達し、手前棚側には棚板をのせる為の水平面を分散させ、それらを「く」の字型に折れ曲がらせた部材の連続により統合するという形式はシリーズに統一したものとして採用している。相欠きによる接合と、高さ方向に固定する為の「貫き」のようなピン固定も、同じくシリーズに統一した規格として採用した。
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“たなだ” /奥出雲, 島根, 2016 © 木内建築計画事務所
製作: 甲斐貴大 用途: パンフレット棚